「海軍大将がなぜここに!」


恐ろしい能力・・

逃げるのが精いっぱいだ。


「だから言ったろ。お前に会いに来た。」

「意味がわかりません。」


銃をぬき、球を放つ。

それが当たったのに、当たった人間が割れ


「いや違うか。お前に選択肢を与えに来た。」


目の前に青キジが立つ。







Hart 9








動いたら、殺される。

そんな気持ちがする。

地面はもう氷だらけになってしまった。


「選択肢って・・。」


恐怖を隠し喉から声をしぼりだす。


「選択肢は2つ。

 1つは俺と共に来るか、もう1つは仲間を殺されるかだ。」


全身から血の気がひく。

仲間を殺される?

頭の中にうかぶ笑顔の仲間・・。

そしてロー・・。


「どういう・・ことですか。何でそうなるのですか。」

「それをお前は知っているはずだ。まぁ忘れているのかもしれねぇが。

 あの島で生きていればよかったのに、海賊になった時点でお前の道は決まった。」


目の前が暗くなる。


何があったというんだ。


何も思い出せない。


「すぐにとは言わない。明日でまぁいい・・。

 この場所、この時間だ。じゃぁな。」


パキンという破壊音と共に青キジが消える。

地面の氷も一瞬で消えた。


「そんなの・・。」


私は力なく膝をついた。









「っ・・!」


しばらく走ればそこにはへたりこんでいるがいる。

別段何もない海岸。

だが少し肌寒いのは気のせいではないだろう。

やはり・・


「おい。」

「ロー・・?あっごめん。心配かけちゃったね。」

「・・・・。」


何て表情をしてやがる。

一瞬の表情を俺は見逃さない。

それは安堵、そして悲しみ。


「ちょっと海が見たくなって・・もう大丈夫。」


立ち上がるは何もなかったふりをして俺の横を通り過ぎる。


「待て、何があった。」

「え?何もないよ。ローらしくないね。」

「隠すな。お前こそらしくないことはするな。」

「フッ、私幸せだなぁ。」

「は?」

「ローほら、行こう!」


腕をひかれて元来た道を戻る。


「おい俺の質問にまだ」

「大丈夫。だってローが来てくれたもの。」

「そういう問題じゃ」

「ありがとう。ほら行くよ!」


腕をひかれて走らされる。あくまで口にしないつもりか・・。






戻ってからのこいつはいつもどおりだ。


「どうしたんすか?キャプテン?」

「ペンギンか。お前、を見てどう思う。」

「は?いや、何がっすか?俺!あいつに手をだそうとか思ってないっすよ!?」

んなこと聞いてねぇよ。

つまりこいつらから見てもいつも通りってことか。


「おい、チャイ。」

「何?」

「しばらくあいつから今日は目を離すな。」

「は?何よ突然。」

「いいから、そうしろ。」

「別にいいけど。そんなに心配ならあんたがのそばにずっといればいい話でしょ。

 未だに寝室も別だしって、睨まないでよね。」

確かにそうすればいい。

だが・・


〜!」

「おい!」

「ローと今日から寝たら?」

「は・・?えぇ!!!無理ですよ!!」


この反応だ。それはまだまだ早いことも俺は分かってる。


「俺は別にい」

「よくないに決まってる!!」


走り去ったを見つめる。


「まぁわかったわよ。目を離さないわ。」


まぁこの船の中なら俺の守備範囲だ。








いつも通りにふるまえただろうか。


、おやすみ。」

「おやすみなさい。チャイさん。」


『1つは俺と共に来るか、もう1つは仲間を殺されるかだ。』


頭の中ではこのセリフばかりが駆け巡る。

今、海軍大将とぶつかったら・・

たとえ強いローとて敵わない。

そう思う。

皆殺される・・・。

離れたくない。

でも・・。

涙がこぼれる。




選択肢・・

私は・・・