!!」

「おーい、!!」


あの馬鹿!!

舟の中にいたはずのが消えた。

やっぱり何かあったのか。

「書置きが・・。」

青ざめたチャイが一枚の紙をもってきた。


『私は、今日かぎりでここをぬける。

今までありがとう。

みんなは先へ、未来へ』


ふざけるな・・。


「島に降りる。」

「「「「アイアイキャプテン!!」」」







Hart 10








昼過ぎだった。


「キャプテン!がいない!」


チャイの声に全員が耳を疑う。

チャイが他の船員に呼ばれた隙の時間だ。

明らかに狙ってどこかに消えた。

書置きを捨てて島内を探す。

俺自身はあの砂浜へ向かう。

もし俺の予感が当たればそこにはあいつと青キジがいる。


「どう切り抜けるか。」


今の俺では勝ちはない。









なんとか舟から抜けられた。

走っていくとそこにはよんでいたように青キジが寝ている。


「― ぁあそんな時間か。」


いや早いんですけどね。

私はこんなに緊張してきているのに・・緊張感のない人。


「それで答は持ってきたか。」


息をふぅっとはいて私は走りだす。

刺したナイフから、嫌な感覚が広がる。


「答を作ったか。なるほど。だが」


やっぱり意味がない・・

手が凍る!


「いい答じゃねぇなぁ。」


すぐに離し、もう一本のナイフをかまえる。


「アイスサーベル。」

「私はあなたと行かない。そして仲間も殺させない。」

「俺と勝負して勝つつもりか。」

「そうだとしたら?」


にやりと青キジが笑う。


「悪い冗談だ。両棘矛。」

「ぐっ!!」


氷の矛が肩にささる。

流れ出る血。

ナイフを持つ手が下がる・・・・右腕があがらない。


「もう一度答を聞く。お前はどちらを選ぶ。」

「私は・・変わらない。」

「ならここで・・死んどくか。」

「くっ!!」


もう一度両棘矛が飛んでくる。


足が・・。


もうだめか・・。


でもこれでいい。


「その目・・いい女に育ったねえ。もったいない。」


アイスサーベルがつきつけられる。


「お前が死ぬ、目的のお前がいなくなり俺は去るか。」


わかっていたのか。

この人なら・・きっとそれを選択してくれる。


「あぁ、わかった。ならそうしよう。

 そこまで大事な奴らか。」

「最高にいい仲間です・・。」

「本当に惜しいな」





さようなら、みんな。

ありがとう。