「いや、そんなわけないじゃないですか。」
「「「「「「「えーーーーーー!!!!!」」」」」」
「えーー?!」

舟に驚きの声がとどろいた。













 Hart3












「これで一通り終わりよ。」
「ありがとう、チャイさん。」

この人はローの率いるハートの海賊団の唯一の女船員であるチャイさん。
私より10歳年上の大人のお姉さんだ。

色々なことを教えてくれるし、
「チャイ!新入りだからってをいじめんなよ。」

「あぁ?あんたらがいじめるんじゃないよ。この子を泣かせたらぶっ殺す。」

    というかっこよさだ。憧れる・・・。


「どうしたの?」

「チャイさんはかっこいい人だなと思っいまして。」

「そう?ありがと。」


ニッと歯をだして笑う姿もやっぱり素敵だ。


「よう、。」

「シャチさん。」


この人は船員のシャチさん、横には仲のよいペンギンさんもいる。


「そういえばよ・・、こっちこいよ。」


突然手招きされてちじこまって話を始めるシャチさん・・。

何だろう?


「お前とキャプテンて、どこまでの仲なんだ?」

「へ?」

「あぁ!そりゃあたしも気になってた。」

「チャイ!お前は声が大きいんだよ!!」

「うっさいわね。私にも聞かせなさいよ。」

「どこまでとは??」

「いや、だってお前あれだろ?いちおうキャプテンの女なわけだろ?」


は?女?

それはつまりあの恋人とかそういうことでしょうか??


「えっと・・誰がロじゃなくてキャプテンの女ですか?」

「いやだから」

「「お前が。」」
・?

・・?




・・・?!



「いや!ありえないですから。」

「「「えーーーーーーーーーーーー!!!」」」

「えーーーー!!」


ってそんなに驚くこと?!


「違うのか!」

「まじかよ!!」

「本当に?」


矢継ぎ早に言われてなんだかよくわからなくなってくる。


「いや・・えっと何でそうなってるんですか?!」

「だってよ。」

「あんな熱いラブコール聞かされてちゃなぁ。」

「ラブコール?」


いや何のことだろう。

思い出せ、私。

ラブコール?

ローに?

私が???


「なにかの間違いでは?」


何だろう?この奇異な視線は??


「天然て・・・こういうことをいうんだよな。」


うんうんと頷くペンギンさんとシャチさんチャイさん。


「でもキャプテンは・・・・。」

「たぶん。」

「困ったもんねぇv」

「いや、三人で納得されても困ります。私にも話して」

「何くだらねぇこと話してやがる。」

「キャプテン?!」


ざざっと人並みが弾いてそこにはローが立っていた。

そうだこのさい!


「勘違いがあってそれを今説明してたの。」

「勘違い?」

「そう。ロじゃなくて、キャプテンと私の関」

「あーー!お前に新しい仕事を一つ教えてやるよ!!」

「そうだ!仕事だ!一緒に来い!」

「えっ!シャチさん?ペンギンさん?むぅ・・」


その場からなぜか口をふさがれ引っ張られてしまった。








その日は私の歓迎会をやってくれるそうで、

私は船長であるローの隣に座ることになった。


「昨日船員になった、です。

 出身は、先日皆さんが訪れた島です。ちなみに看護婦をしていました。」

!年はいくつだ?」

「年は17歳です。」


おーーと拍手がまきおこる。

簡単な質問の後は普通の酒盛り。

リリィさんの酒場で少し飲んだことはあるけど、そんなに強くない私は

少しずつ飲むことにした。

歌を歌ったり、それに合わせて踊ったり。

とても楽しい時間が過ぎる。


「おいおい!聞いてみろよ!」

、お前とキャプテンてどこまでいってるんだ。」

「!」


逆となりの人に聞かれて、むせってしまう。

いやどれだけの人が勘違いをしているんだろう。


「だから、私とキャプテンはそういう関係ではありません!」

「え?!まじ?」

「だーかーら!キャプテンと私がそういう関係だって勘違いしている人が多いようですが

 違いますからね!!全くどうしてそうなったのか・・。」


ふぅとため息をはく。


「ね、ローからも」

「・・・。」


今ため息はきました?

なぜため息?

しかもちょっと不機嫌?


「とにかく、なんでそうなるんですか?」

「だってよ、お前あの時すげぇこと言ってたじゃねぇか。」


あの時?


「「私を連れてって!」」


いやそんなどや顔してませんよね。

こっちとしては必死だったんですが・・。


「そりゃ頼みますよ。一緒にいきたかったんですから。」

「は?だから・・」


途端にローから満杯に継がれたジョッキが渡される。


「うるせぇ奴だ。これでも飲んでろ。」

「これお酒・・・ですよね?」

「船長命令だ。飲み干せ。」

「ええ?!」


とりあえず時間はかかったけど

いちおう飲み干すことはできた・・。

うらみがましい目をむけるとローが意地の悪い目で私を見る。


大丈夫?」

「チャイさん・・いちおうまだ大丈夫です。」

「それにしてもひどい男ね。」

「チャイ。なにか文句あるのか?」

「別に。」

「?」


不敵に笑うチャイさんとローが見つめ合ってる。

うーんなんか美男美女で似合うなぁ。


「お似合い。」

「「は?」」

「それこそキャプテンとチャイさんがお似合いだなって。」


あっ、ローが驚いてる・・・珍しい。


「本当面白い子!そうだったらどうする?」

「チャイ・・。」

「ちょっとした冗談じゃない。ちょっ!サークル出さないでよね!」


ローとチャイさんってそういう仲だったのか・・。

うーん・・・。チャイさんはいい人だし、ローとうまくいくと思う。


「そうですね。祝福します。」

「「「「「えーーーーー!!!」」」」


周りから驚きの声が響く。

今日何度このセリフを聞いただろう。

なぜ??


「お前それでいいのか!」

「おいおい!」

「だめだろ!!」

「だめも何も、だから私達はそういう関係じゃありません!って今日何度目だろ。

 もちろん、キャプテンとの約束を思って私は生きてきましたよ。」


小さい頃交わした約束。

キナコさん、ヤンバルさん以外に欠かせない存在だったローの旅立ちの日。



【連れてって!】

【だめだ。】

【どうして!】

【・・・弱い。だから連れていかない。】



私は幼いローよりもっと幼かった。

今みたいに看護の知識があるわけでもなく、

力も弱くて、絶対連れて行ってもらえないとわかった。

だから精一杯叫んだんだ。



【優秀な看護婦さんになるから、強くなるから・・そしたら今度は連れて行って!

 お願い・・ロー!】

【・・・・あぁ。】



その言葉にローは一瞬だまって、いつもみたいに少し意地悪に笑った。


「医学に触れ、武術に励んで過ごしてきました。」


決して楽じゃなかった。でもずっと信じ続けて生きてきた。


「それはきっと皆さんと同じだと思います。ローと共に過ごしたい。そういうわけです。」


その場が静まり返り・・


「いやだから」

「まぁ!いいじゃねぇか!!」


ペンギンさんが持ってきたグラスを私の空いているジョッキに軽くぶつける。

そしてチャイさんが私に抱きつく。


「チャイさん?」

「本当にあんたは可愛い子ね!!」

「!!」


ぎゅっとされて苦しい・・・。


「ガキ。」


横を見たローは、そんなセリフをはいたけど・・


「よろしくね!ローじゃなくて!!キャプテン!!」





私は知ってる。

この顔は、機嫌のいい時のローだ。