足が遠のく図書館。
頭から離れないのは・・。
『面白い奴だ。』
『多かれ少なかれ男はそういうもんだ。』
たった一人のこと。
君にとどけ 6
あれから一週間図書館には行かなかった。
読みたい本がないわけじゃない。
だけど何となく行きづらくなっていた。
「あ〜もう!何なんだろう!!」
誰もいない教室に響く自分の声、もちろん誰も答えてくれるわけ
「どうした?うちの美少女秀才はスーパーじゃなさそうだな?」
「フランキーさん!?」
確かフランキーさんは機械工学関係のサークルに入ってたはず。
「作品の仕上げでな。忘れ物をとりにきた。お前は?」
「いつも通り課題をすませて帰ろうと思って・・。」
「ふーむ。どうした何か気になることでもあるのか?」
「・・・。」
「まぁ、よくわからねぇが、後悔してもつまらねぇ。チャンスなら逃すな。」
「え?」
「じゃぁな。」
チャンスって何もチャンスじゃないんだけど・・。
でもきっとフランキーさんなりの励ましの言葉だ。
後悔してもつまらない・・。
気になるなら行動あるのみ!
「もやもやしてても仕方ない!!」
急いで鞄にいれて、私は図書館に向かった。
いつも通りだ。
古書の多いこの図書館には、人はあまりよりつかない。
そこで医学書を読むのが俺の日課だった。
静かな、室内・・。
だが俺はきっと心の中で何かを期待している。
一週間がたった。
あれからの姿は見かけない。
俺を嫌ったか。
『ローさんはそういう考え方なんですか。』
『多かれ少なかれ男はそういうもんだ。』
『そうですか。』
『なんで笑ってるんですか?!』
『いや・・。面白い奴だな。』
思い出すなんざどうかしてる。
だが心がざわつく。
『キャプテンのお気に入りの女の人?』
ベポに前聞かれたことがった。
「気にいった・・か。」
今まで女に対して抱いた感情とは違うものを感じている。
これは・・。
ガタン!
「あ。」
ドアが開きそこにはがいた。
「うるさくして・・・すみません。」
「いや、いい。」
「・・・・。」
「どうした?」
来たはいいが、どうしたらいいんだろう。
そこにはローさんがいつものようにいて、こちらを見ている。
一週間ぶり・・嬉しいと感じている自分。
一度感じた嫌悪感・・。
でも今は・・。
近づきたい。
自分は近づいていいのだろうか。
そんな私よりも先にローさんが立ちあがる。
「私は・・あの言葉には賛同できません。」
「・・・。」
「まるで心なく、人と付き合うことをよしとするように聞こえたから。」
向ってくるローさんに向けて放つ言葉に返答はない。
ローさんの言うのは生物学上の性の観念だ。
それももちろん人間にとって大事なものだ。
だけど、それだけが人じゃない。
「私はそれは嫌だから。」
何を話しているんだろう。
そうじゃない。
それを話したいわけじゃない。
でも何ていったらいいのかわからない。
「でも、そこはわからなくても」
「またこうして図書館に来ていいですか。」
言葉を発して気付く自分の思い。
私はこの人と一緒にいたいと思っている。
動かない。
立ち上がればもちろん身長差があるとはいえ目線が近くなる。
「私は・・あの言葉には賛同できません。」
それはあの日交わした会話のことだろう。
「まるで心なく、人と付き合うことをよしとするように聞こえたから。」
それは生物学上の性の観念。
俺がかつて重ねてきたもの。
欲求のはけ口、快楽、暇つぶし。
「私はそれは嫌だから。」
思っていた奴はいただろう。だがここまではっきり言われたことはない。
だがどうだ。今俺は何を思っている。
が首をふる。そしてもう一度決意したように俺を見た。
「でも、そこはわからなくても」
そこには切なさをおびた強い瞳がある。
「またこうして図書館に来ていいですか。」
自然と足が進む。
「!!」
顔がふれる距離になればが体を震わせる。
頬に触れれば緊張が伝わる。
俺が間違っていたようだ。
「なら傍にいればいい。」
「え?」
「お前が望んだんだろう?違うか?」
「え、あ・・ありがとうございます!」
この思いを俺自身が伝えられる日がくるかはわからねぇ。
だが、今はこの時間を
俺は喜にとして感じている。