「土方さんお疲れ様です!」

「あぁ。」


屈託のない笑顔・・。

何ていうか調子がくずされる。












 君に夢中3











こいつは最近入ったやつで、という。

そしてこいつに俺はなつかれていた。

直接言われたわけじゃないがたぶんそうだろう。

総悟によくいじめられ・・それを助けているせいだろうな。

最初に高杉にからまれた時にも助けたし。

まぁこいつの反応を見れば、総悟の気持ちもわからねぇでもないがな。

いちいち反応が返ってきて、表情もくるくる変わるその様子は

子供や女みてぇといえば一言で終わるが悪くねぇし。好感を覚える。

正直なんでこんな所で働いているのかと思うくらいこいつは純粋だ。

まぁ一番は


「今日も頑張ってくださいね。」


この笑顔だろうな。


「お前もヘマすんなよ。」

「しませんよ。頑張ります!」


そう言って機嫌良く去っていく。

男としてみてどうかはさておき、今までの後輩にはいなかったタイプだ。








「それで〜、もう聞いてるの!」

「聞いてるさ。」

会社で嫌なことがあったのか、俺に愚痴ばかり聞かせる女に正直うんざりしていた。

香水のどぎつい匂いにも正直我慢ならねぇ。まぁ仕事だから耐えるが・・。

一緒にテーブルについている近藤さんも苦笑している。


「御注文のシャンパンでございます。」

「あらあなた新人?」

「はい。ホール担当のと言います。」

「かわいい子ね〜!いいわ決めた、これあなたにあげる。飲んでちょうだい!」

「え?」


見るとが固まっている。そういやこいつ未成年だったんだっけか?


「何よ!飲めないわけ??」

「お酒は実は苦手でして、おいしいお酒も美しい貴方に飲んでいただけた方が」


それは一瞬の出来事だった。


たぶんこの女も酔ってて、会社で嫌なことがったせいだろう。


「これでゆるしてあげる。今度は飲みなさいよ。」


やったことはこいつの頭からシャンパンをかけるということで、は一瞬止まっていたふがすぐ微笑む。


「そうですね。今日はおいしそうな匂いだけでも堪能できました。」


そういって髪からしたたった液体を指にからめなめとった。


「失礼します。」


初めてにしては上出来な姿だ。女も満足そうにそれを見つめていたし。

にしてもまぁ・・すると近藤さんが俺に視線を送ってくる。

近藤さんがを可愛がっていることは知っていたが、過保護じゃねぇか?

あれくらい最初はよくあることで・・。

わっーたから!そんな目で見るんじゃねぇっての!!

あんたがやると気持ち悪い!!



「ちょっとどこ行くの?」

「トイレだ。」

そうかトイレか!それは仕方ないな!!

近藤さんが下手ないいわけをしてどうにかしている。

俺は支配人室へと向かった。

支配人室と言ってもここの支配人はいつも隣のキャバクラを交互にみていて今日は不在。

そしてそこには


「お前大丈夫か。」

「あー平気ですよ。俺だって男です!」


髪をハンカチで拭きながら言うその顔は少し曇っている。

普段ならぜってぇ女々しいぐらい思うのにこいつにはそんなことを思わなかった。

シャンパンは肩越しにもかかっていてこりゃシャツもだめだな。


「それシャツかえろ。脱がないとだめだろ。」

「え!!」


いやそんなに反応するところか?

顔をみるみる赤くするになんだか俺が悪いこと言ったみてぇじゃねぇか。


「お前どうした?」


熱でもあんのかよ。

下をむいた次の瞬間少し涙ぐんだ瞳で俺をみる。

いや・・おい・・なんていうか。

髪もぬれてシャツもすけていて・・。ベストがあるだろっていう問題じゃなくて。

って俺も何考えてんだ!!


「とにかくはやく着替えて戻れ!」

「はっはい!!」







総悟のようにこいつも顔がなんていうか男らしいというよりはどこか女みたいな・・

俺・・もしかしなくても欲求不満か。

男に変な気分いだくなんざ・・絶対誰にもいえねぇ。