結構うまくできた。


「サンジ君とナミちゃんのおかげだよ。ありがとう。」

「そんな!さんの手際のよさには驚きましたよvvv」

「そうよ。さすがね。」


今日は共通科目の家庭科の日で、内容は調理。


「お前達のうまそうだな!」


やってきたルフィさんを殴るサンジさん。


「手をだすな!!俺とさん、ナミさんの愛の共同制作!!」

「作りすぎたのは山分けましょう。」


ニヤリと笑ったナミちゃんが耳元でささやく。


「これ、ローにあげてきなさいよ。」

「ええええええええ!!」








君にとどけ 9









確かに調理の日といえば


「これ、作ったんですけど・・。」


なんて廊下で作ったものを女の子が好きな男の子に渡すのが見れる日だ。

残れば別に弟にあげればいいわけで・・きっと喜ぶだろうし。

でもナミちゃんの言葉がひっかかる。

あげたら・・。

喜んでもらえるだろうか。


「これ!もらってください!!」


ふとそんな声が聞こえて前を見るとローさんに何かを手渡しする女子が見えた。

確か今日一緒に調理してた、別の班の子だったよな・・。

まぁ・・・いいか。

その先を見ずに私は教室に戻った。







まぁいいかとは思ったものの・・。

ため息が自然と出てしまう。

目の前のローさんは課題が出たとかなんとか言って

レポートを書いている。

私・・後悔してるんだ。

ローさんに渡せなかったこと・・。


「どうした?」

「え?」

「さっきからため息が多い。」

「いや・・その・・・。」

「言いにくいなら別にかまわないが。」


いいタイミングなんじゃないだろうか。

でもどう切り出そう。


「その・・ローさんは甘いものは好きですか。」


自分で考えても何を言ってんだと思うことを言ってしまう。


「甘いもの?・・別に好きでも嫌いでもない。」

「そ、そうですか。」


一番困る解答が来てしまう。

どうしよう・・。


「そういえば1、2組は今日は調理だったか。」

「そうです!おいしかったですか?」

「?」


しまった!!と思うのはもう遅く・・。


「おいしかったも何も・・・・見てたのか。」


ばれた!


「すいません・・。」


なぜこうも墓穴を掘ってしまうのか・・。

というかこの話をする気はなかったのに!!!


「もらってねぇよ。見知らぬ奴の作った料理を何で食べなきゃならない。」


その言葉に・・

嬉しいと感じた。







「その・・ローさんは甘いものは好きですか。」

「甘いもの?・・別に好きでも嫌いでもない。」

「そ、そうですか。」


突然の問いにそう答えればは目線をそらして居心地が悪そうにする。

甘いもの・・。

そういえばと思い出されるのは今日の光景。

知らない女から何か言われたな。

ならも・・


「そういえば1、2組は今日は調理だったか。」

「そうです!おいしかったですか?」

「?」


おいしかった?別クラスの俺が?


「おいしかったも何も・・」


つまりそれは今日の休み時間の光景を


「見てたのか。」

「すいません・・。」


別にあんな人目がつくところで渡してる奴が悪いんだろ。

はなぜか下を向き、表情をくもらせる。


「もらってねぇよ。見知らぬ奴の作った料理を何で食べなきゃならない。」


ふと顔があがり、すぐにまた下をむく。

でもその表情が少し明るくなったと感じる。

もしそれが本当なら・・

何てこいつは・・


。」

「はい?」

「余りあるんだろ。」

「え?」


鞄から出し、控え目に渡されたそれを受け取る。


「え!今食べるんですか!!」


ラップをはがし食べれば、甘い味が口に広がる。


「悪くない味だ。」

「それなら・・よかったです。」


ここまでしてやる俺もどうかと思うが

こいつの笑みを見れるなら悪くない。


「サンジ君に手伝ってもらったんです。同じ班で、とても料理上手なんですよ。」


その声にがくっとなりそうになる。

そこでどうして男の話題になるのか・・。

わかってねぇな・・。


「全部黒足屋が作ったのか。」

「そんなことありません!!」

「ほら」

「!!」

「悪くない味だろ?」


半分を口にいれてやると

口に手をあててが真っ赤になった。


「・・・!!」

「何だ?」

「何もありません!」







唇に残る感触

指に残る感触

その余韻を感じているのは

まだ互いの秘密