十代目と守護者の皆さんが修行の成果を少しずつ出している中、
イタリアでは
「偽物だ。」
「偽物。」
スクアーロの驚きの顔をしりめにXANXUSが立ち上がる。
「日本へ発つ。奴らを根絶やしにする。」
ついに奴らが動き出したことを私達はまだ知らない。
Venus 2
ハーフボンゴレリングはディーノさんが持っていたし、とりあえずホッとしたかな。
街の巡視を終えて、おつかい帰りの私の方に十代目とバジル、リボーンさんが歩いてくる。
「3人とも今お帰りですか。お疲れ様でした。」
「はい!姉上!!」
元気に返事をしたバジル・・相変わらずかわいいなぁ。
「今ちょうど親方様の話をしていたんです。」
「そういえば、さんも親方様っていう人の命令で日本に来たんですよね?」
「そうですよ。」
「もうすぐツナも会えるからな。」
「そ、そう?」
十代目の顔がどんよりとする。十代目にしてみればリングを押しつけられたから
あまりいい印象でないのかも。きっと真実をしれば驚くだろうなぁ。
「さん?」
「いえ、なんでもありません。」
楽しみ。
「ただいま〜。」
「お帰り。」
「えっ!!父さん。起きてるなんて珍しいじゃん。」
「出かける前でちょうど良かった。」
「え?どっか出かけるの??」
玄関を開けると親方様がどこかへ行く様子・・どこに行くつもりだろう。
「あぁ。招いていない客が思ったより早く来ちまったらしい。」
その言葉に私、リボーンさん、バジルに緊張が走る。
「客?」
「本当か家光?」
「本国に残しておいた俺の影からの情報だ。間違いない。」
「にしても早すぎるぞ。」
「偽のリングがこうも早く見破られるとは想定外だった。」
つまりヴァリヤーがこの街にも来たということ?
「考えられるとすればXANXUSの超直感。」
XANXUS・・ヴァリアーの頂点に君臨する男。
ボンゴレ9代目の息子にして、今のツナさんがいなければ十代目だった男だ。
その性格は冷酷、残虐、そして危険人物だと聞いている。
「手伝え、バジル、。」
「「はい、親方様」」
ヴァリヤー襲来を告げられ同様する十代目が目を見開き驚く。
「えぇぇ!!親方様・・!?」
「はい。」
「そうですよ。」
お父様が親方様だと知り・・やっぱり驚いてる。
本当に素直で面白い人だ。
「親方様?」
「親方様。」
満面の笑みで返す親方様に十代目が更に驚きの表情になる。
「うそー!!そんな・・・。」
「敵の先発隊はレヴィ雷撃隊。ヴァリアーでも屈指の戦闘能力をもつ連中だ。」
雷のハーフボンゴレリングを狙っていると知り、保護するよう親方様は十代目に告げる。
そして私とバジルは親方様と共に玄関を出た。
「親方様。」
「どうした、?」
「大丈夫でしょうか。」
「あぁ、ツナか。リボーンもついてる。今のところは・・大丈夫だろう。」
「よし、俺達はこれから別件に行く。レヴィは戦闘能力はあるが、勘が働く方ではないと聞く。
お前が残れ。その代わり、わかるな。」
「はい。これは使いません。サングラスも外しません。」
私と親方様、いえ9代目と今回の仕事に就く上での約束がある。
このリングを使わないこと、そして素生を10代目ファミリー以外には明かさない事だ。
リングと素生は元々秘密にしてることなんだけど。
「姉上、お気をつけて。」
「大丈夫よ。」
急いで10代目の所へ向かった。
「邪魔立てすれば・・消す。」
ようやく到着すれば、そこにはレヴィと10代目ファミリーがいる。
周りの人間が倒れている所をみると晴れ、嵐、雨の守護者は間に会ったのね。
でも・・この状況か。
すっと前にでる。
「その服装・・何者だ。」
「り」
10代目の口を手でふさぐ。
「まぁいい。お前も一緒に消して」
レヴィが前に出ようとした瞬間、はっとする。
気配の多さ・・まさか!!
「待った、レヴィ。」
「ん?」
「一人で狩っちゃだめよ〜。」
「獲物は仲良く・・シシシシ。」
「事情が変わったよ。」
見えるのはおそらくヴァリアー部隊・・しかも幹部達!!
写真でしか見たことなかったけどすごい威圧感だ。
「どうやら他のリングの所持者もそこに。」
「うわぁこんなに!!」
10代目の言うとおりだ。まさか集結するとは思わなかった。
10代目守護者は才能にあふれているがまだ未熟で・・。
リボーンさんがいるとはいえどう護ろう。
「うぉーーい!!よくもだましてくれたな、カス共!」
スクアーロが前に出て山本に喧嘩を売り始める。
3秒で切身か・・でも今の山本では本当にそうなりかねないだろう。
「山本さん、今は」
「わかってる・・大丈夫だ。」
悔しいけど耐えている。この人も・・やはり強い。
「どけ。」
どくんと・・その場の空気が変わった。重く・・息がしづらい。
「出たな。また奴を見る日がくるとはな・・XANXUS。」
「っ・・。」
黒髪に赤い目、やけどの跡・・そして人を恐ろしいほどに威圧する雰囲気。
何だろう・・頭痛がする。
『 。』
こんなときに!!
「沢田綱吉。」
XANXUSの手が光る。
あの光は大空の炎!!まずい!!
「ボスまさかいきなりあれをここで?!」
「俺達までまきこむつもりか!!」
くる!!
指輪の鎖に手をかけようとした時、リボーンさんが首をふった。
「、まだだめだ。」
「リボーンさん!!しかし!!」
「やべーぞ、逃げろ!!」
「死ね!」
その途端ツルハシが飛んできて、XANXUSの攻撃が止まる。
あれは!!
「てんめぇ、何しに!!」
「XANXUS、お前の部下は門外顧問であるこの俺に剣を向けるのか。」
親方様だ!!
そこで知らされたのは、親方様が最近のヴァリアーの行動を容認していた9代目に
異議申し立ての質問状をおくっていた事実だ。確かにおかしかった。
9代目がこのヴァリアーの行動を容認するなど考えられないことだから。
しかも親方様から9代目にしばらく会うななんてことまで言われていた。
「そしてこれが解答。9代目からの勅命だ。」
この時がちょうどいいと判断したのか、ボンゴレ門外顧問のことを
リボーンさんが10代目に説明する。
「言わなかったか。7種類あるハーフボンゴレリングはそれだけではただのかけらにすぎないんだ。
対となる2つが揃って初めて後継者の証のボンゴレリングになるんだぞ。」
「それで、こんな変な形なんだ。」
「逆にいえば、2つ揃わないと後継者にはなれない。」
「そこでみなが納得するボンゴレ公認の決闘をここに開始する。」
公認の決闘?!
「つまりこういうこった。ボンゴレ後継者候補沢田綱吉、同じく後継者候補XANXUS。
二人が正当な後継者となるために必要なボンゴレリングその所有権を争って
ツナファミリー対ヴァリアーの決闘だ。同じリングをもつ者同士1対1の
がちんこバトルだ!!」
「がちんこバトル!!」
「あぁ、あとは指示を待てと書いてある。」
まさかこうなるとは・・・・!!
そしてそこに現れたのはピンクの髪に眼鏡のチェルベッロと名乗る女の人達だ。
この人たちは9代目直属の機関というが本当なの??
もちろん親方様も納得していないようだ。
それに9代目が後継者をXANXUSに・・しようと思うだろうか。
「明晩11時並盛り中でお待ちしております。さようなら。」
去っていくチェルベッロの2人に追っていくかと親方様へ視線を送れば、首をふられる。
まぁ、今のままで戦うよりは確かにましかもしれない。
ふいにXANXUSがこちらを見て笑う。
「おい、家光。」
「なんだ。」
「もうひとつのリングは全てを手に入れた者のものとなるということでいいんだな?」
不敵な笑みとその視線を親方様はまっすぐに受け止められた。
「そうなるだろうな。あのリングはボンゴレリング大空の継承者に寄り添うもの・・
だからな。」
そうだ・・そういうことになるんだ。
その言葉を私はかみしめる。
これが親方様の言っていた運命ということなのか。
「もうひとつのリング?リボーン何その話??」
「その話は今度教えてやる。」
「いいだろう。この勝負うけてたつ。」
XANXUSがその場を去り、沈黙が流れる。
「姉上・・。」
「大丈夫。」
頭痛は治まったけれど、胸を不安がめぐる。
バジルの言葉に笑顔で答え、私は空を見上げる。
綺麗な青い大空・・大丈夫です。
でも会いたいです・・ディーノさん。
「おおい!ボス最後に言ったことが事実とすればあいつはやはり
あっち側で生きてるってことか!!」
「生きてるんだろ〜。楽しみだなぁ。」
「8年間たったのだから・・きっと素敵なレディーになっているわよねぇvv」
「門外顧問と9代目がやはり隠してたんだね。念写でもわからないはずだ。」
「どうしますか、ボス。」
うるせぇカス共の言うとおりだ。
全ては順調に進んでいる。
問題など存在しない。このまま全て手に入れる。
待っていろ・・・。