「日も暮れたしそろそろ終わりだな。」
「・・・・・。」
素っ気ない弟子を見送り一息つく。
その時携帯が鳴り、
その番号を見て俺は自然に頬が緩んでしまう。
そりゃそうだろ?愛しい婚約者からなんだから。
「お忙しい中すみません。」
その声にどこか違和感を感じる。
「、どうした?」
「ヴァリアーと十代目ファミリーが接触しました。そして」
その言葉でようやく意味がわかった。
Venus 3
出来事の詳細を聞き、唇をかむ。
予定より早いな・・。リボーンでさへこうも早いと思ってなかったはずだ。
「とにかくこうなってしまったことは代わりありません。
私も十代目や他の後継者育成に手を貸すことになると思います。
引き続き、ディーノさんは雲の守護者の育成をお願いいたします。」
「あぁ、わかった。」
仕事になればえらく事務的になることは分かっている。
それは区切りだとから聞いたことがあった。
必要以上に事務的にならないと公私混同になると・・。
だがそれ以上にこの口調や声のトーンだ、何か隠しているんだろ。
「。」
「はい。」
「何か隠してるだろ。」
「え?」
「今終わったし、迎えにいく。ツナの家でいいか?」
「はい、ありがとうございます。」
名残惜しいが電話を切る。
「ボス、どうした。」
「ヴァリアーがこっちに来てツナ達と接触したそうだ。」
「なっ、早いな。」
「あぁ。でもどうやら戦いは明日の夜から正式な戦いになるようだ。守護者同士の1対1の戦いらしい。」
「間に会うのか。」
「さあな。でももう焦っても仕方ねぇ。」
「んで、嬢ちゃんってわけか。」
「あぁ。」
ロマーリオは唯一俺のファミリーでの事情を少し知る人物だ。
「無事か?」
「あぁ、だがもしかしたら何か思い出して不安なのかもしれない。」
車にロマーリオを乗せ、ツナの家まで急いだ。
ロマーリオはその後車から降り、そのまま歩いて宿泊ホテルに行く。
「よう、ディーノ。」
「リボーンじゃねぇか。」
そこにはじゃなくリボーンの姿がある。
「を心配して・・か。」
「まぁな。は無事か。」
「あぁ。だがXANXUS達に出会った時、あいつ頭を抑えていたぞ。」
「思い出したのか?」
「いや、おそらく何かおかしいぐらいの感覚だろう。」
の過去・・。失われた2年間の記憶・・。
「だがあいつが思い出そうが思い出さないだろうが・・
あいつらはを覚えているようだった。」
あいつらが覚えているなんて、俺は詳しく知らないがやはり相当な絆があった
ということか。
「まぁ、なら大丈夫だ。」
「?」
「はきっと乗り越える。俺は全力でそれを支える。それだけ、だろ?」
「ふっ、少しは成長したな。」
「まぁな。」
塀から飛び降りてリボーンがツナの家に入っていく。
もちろん不安がゼロといえば嘘だ。
『暗殺部隊ヴァリアー・・過去の経歴を見ても相当なものです。』
その時のの表情は正直苦いもので、あまり好ましくないという気持ちがこもっていた。
だがありつが次に続けた言葉を俺は覚えている。
『でも・・・・』
記憶が戻るが先か、思い出すが先か・・どちらにせよは乗り越えなければならないだろう。
それによってどうなるのか。
あいつにとって大切だったヴァリアー、そしてそこで頂点に君臨していたXANXUS・・。
「ディーノさん!」
急いで玄関から走ってきたを抱きしめる。
「ディーノさん!!!ここ玄関のま」
「大丈夫だ。何も心配すんな。」
「え?それは・・。」
「お前はお前らしく進めばいい。俺は何があっても傍にいる。」
その言葉を聞くとが自分の腕をゆっくり俺の背中にまわす。
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
大事なものを手放したくない
感情にまだ蓋をして
今はただ腕の中にいるを強く感じるよう抱きしめた