「遅いぞディーノ。」
「悪い。でも間に会っただろ。」
「どういうことだコラ。」
「信じられない、生きていたなんて。しかし、どうやって。」
甘っちょろいガキのファミリーの声がする。まぁ俺自身ここに立てるとはまさか
思っちゃいなかったがな。
「生きていたのか。」
「え?それはこっちのセリフ・・。」
「お前・・まさかやはり俺達のことを。」
その表情が物語る。やはりこいつに昔の記憶はねぇ。
Venus 6
「気がついたか、スクアーロ。」
「跳ね馬・・か。」
雨のリング戦から目覚めるとそこは病室だった。
「お前と対決したら山本の方が危ないとふんで助けるつもりだったんだが、
こんな結果になるとはな。」
そうか、俺はこいつに助けられたのか。
「なぜ助けた。そのまま放っておけば・・よかった・・だろうが。」
「ふん、今お前に死なれたらこっちも困るんだ。」
「お前は昔から甘えんだよ、跳ね馬。」
「そうかもな。」
「なぁスクアーロ。」
「なんだ。」
「いくつか聞きたいことがある。」
「なんだ・・。」
大方XANXUSあたりのことだろうな。
「1つ目だ。お前達は・・昔ヴァリアーにいた女を覚えているか?」
「女?」
「正確にいえば・・あの頃はまだ少女か。」
なんでこいつがそんなことを聞く・・。
ヴァリアーに女は少ないが、少女となれば過去にも現在にも1人しか俺は知らねぇ。
『アーロ、もうひと勝負!』
馬鹿みたいに純粋で一途な黒髪のガキ・・・・。
「その顔、覚えてるんだな。」
「だからどうした。だいたいお前がなんであいつのことを知っている。」
「今でもお前達はあいつを探しているのか?」
この口ぶりまさか・・。
「お前・・まさかあいつの居場所を知ってるのか?」
「やはりそうだったか。」
「あいつはリング保持者だ。しかも特別な。」
「リング保持者だからか。なら・・俺の弟分にもより勝ってもらわねーといけないな。」
確実にアイツの居場所を跳ね馬は知ってやがる。そしてこの口ぶり、
やはりはあの老いぼれジジイの下に隠されていたということか・・。
マーモンが探しても見つからないわけだ。
「XANXASは負けねぇ。特にアイツがかかったとなればな。」
「どういうことだ。」
俺は黙る。その後もなぜXANXUSに惹かれたかどうかだとか
色々なことを聞かれたが、俺は何も口にしなかった。
「ここでなら話す気になるかと思ってな。」
けっ・・話すかよ。
まぁ大空戦に来れたのは確かに幸いだ。
「・・・。」
こいつにも会えたしな。
「スクアーロ!」
「生きてる守護者はこの大空戦に強制的に参加させられる。」
「まさかこんなになった守護者まで貴方がたは戦わせるつもりですか。」
『こんなになってまで戦うの?死んじゃうよ!』
あの頃と変わらねぇな。
甘い、マフィアには不釣り合いな人格・・。
「の言うとおりだ。今頃こいつをフィールドに入れるのは無理があるんじゃねぇか。」
「生きてることを突き止められなかったそっちのミスだしな。」
「わかっておりました。」
観覧席で見ることができたのは、XANXUSの怒り。
「いいぞ。その怒りこそがお前の野望を実現する力だ。」
その怒りに俺はあこがれ、ついてきた。
の表情は硬い、これはあの頃と違うな。
俺とは違う面でXANXUSに惹かれ、
慕っていた頃の表情とは大違いだ。
「スクアーロ、あなたは全てを知っているのですか。」
「・・・・。」
「・・・・。」
全てはこの試合が終わればわかることだ。
XANXUS、お前の怒りで全てを終わらせろ。
そして新しく始めればいい。