『やめて!』


どうした・・!」

「頭・・痛い。」


XANXUSの腕が凍りつく。この胸のざわつきは何?


『どうして!!どうして!!!』


頭をかすめるぼやけた映像。


「ゼロ地点突破ファーストエディション。」

「うわぁぁぁ!!」

「やめろ!!」


XANXUSが凍る・・

氷の塊?

ずっと見えなかったもの・・夢の中でみた輝き。


そこで泣いていた・・

私は泣いていた。








Venus 7









「もう氷が融けることはない。」

「融けない?」

「そんなことが」

「あの氷は死ぬ気の炎とは逆の力をもった負の超圧縮エネルギーみてえだな。

 あれにとじこめられちまえばどうすることもできねぇ。

 光だろうが熱だろうが全てのエネルギーがマイナスに転じちまうからな。」

「ではこの勝負。」

「あぁ、ツナの勝ちだ。」

「やった!」

「あぁ、よくやったな、ツナ!」


これでよかった。これで良かったはずなのに・・。

どうしようもない感情に胸が満たされる。

目から涙がこぼれ、体が震える。

どうしたというんだ。


悲しい、苦しい。


私はこの光景を・・。


・・お前。」

「ディーノさん・・ごめんなさい。自分でもよくわからないんです。」


手で涙をぬぐう。するとスクアーロとふいに視線がまじわった。

その表情は私の涙をみて目を見開き、視線はすぐに下にむけられる。


「XANXUSは冷凍仮死状態か。」

「あぁ、おそらくゆりかごの後8年間眠っていたのと同じようにな。」

「「「「!!!」」」」


8年前にもこの状態があった?

「なるほどこれで話が繋がるな。」

「さぁ話してもらうぞスクアーロ。」


ディーノさんがスクアーロにつめよる。


「8年前のゆりかごのことを。」


どくんと一瞬体を覆った不安・・私に記憶がないのはいつからだった。

母が死に、イタリアに来た・・ちょうど10年前

そして目が覚め、ボンゴレ9代目に出会ったのが8年前

記憶のない2年間と繋がる8年間・・

きっとこれは偶然じゃない。


「何があった。」

、お前が聞くか・・選べ。」


リボーンさんの言葉に全員の視線が向う。


「私は・・やはり私が関わっているんですか?」

「感覚がお前に知らせているんだろ。」

、聞きたくなければお前は」


ディーノさんの表情が心配そうな顔になる。


「いえ、ディーノさん・・聞きます。」


スクアーロを見る。その視線は真直ぐで覚悟を問うているようだった。


「スクアーロ、話してください。」

「・・・お前らの想像どおりだ。奴は9代目に凍らされた。それだけだ。」


違う・・何かをこの人は隠している。


「何を」


そう言った途端、現れたのはマーモン、そしてその手にはボンゴレリングが握られている。

そこでマーモンが口にしたことはボンゴレリングの力でこの氷がとけるということ。

そして本当に氷が解け始める。


「これだけじゃないよ。7つの完全なるボンゴレリングが継承される時、

 リングは大いなる力を新たなるブラッドオブボンゴレに授けると言われているんだ。」


新たなる力?


「ブラッドオブボンゴレ・・に。」

「返してもらうぜ・・シシシ。これは正当後継者のリングだし。」


ベルにリングがとられ形成逆転!

まずいはずだ。

動かなきゃいけない。動かないと・・。

氷がとける。


『助けて!今すぐお願い!!』


首をふる。

うるさい。

これは誰の声?

だめだ!!だめ!!


「ボンゴレリング全部コンプ。」

「こっちも準備できたよ。」


べルフェゴールとマーモンがリングを合わせる。


「お帰り、ボス。」

「いよいよだよ。」

「よこせ。」

「もちろん。これはあんな偽物じゃなくて、9代目直系のボスにこそふさわしいからね。」

「結局、最初からこうなるって決まってたのさ。」


氷からとけたXANXUSが指示をだしべルフェゴールとマーモンがそれを差し出す。


「待ちなさい!!」

「なっ!出ては!!」

「私はリング守護者です!」

・・。」

「10代目は休んでいてください。もう・・あなたは十分戦った。」


10代目を背にリングに炎をともす。

例え7個のリングが揃っても、

私は負けない。


「リングを渡しなさい。」

「ルール違反はだめだぜ〜・・。」

「貴方まで・・私の名を!」

、さっきからの様子だと思い出しかけてるんだろ。

 なら君はこちらがわの人間のはずだよ。」

また頭痛がする。


『私も戦う!』

『だめだ。お前は・・』


「シシシ、お前はそこで休んでな。

 お、来たか。どいつもこいつも新ボス誕生のための立会ご苦労さん。」

「受け継がれしボンゴレの至宝よ。若きブラッドオブボンゴレに大いなる力を!」

しまった!!




そう思った途端、虹色の輝きがXANXASを包む。