所変わって、場は暗く、そこには数人の正装した人間が座っていた。
「・・甘くねぇじゃん。このポンコツがぁ!!」
怒りに満ちたその人物が横の悪魔をたたきつぶす。
「おいおい食事中にぐろいもん見せんなよ。むけてんぞ。」
その人物の腕の服がちぎれ、そこにはとげが生えた腕が見えていた。
With 5
「帰る!お前たちとは味覚が合わない。」
「ンだよ。タマゴくらい食えっての、この甘党!」
「落ち着きなよぉ。せっかく家族でメシ食ってんだろぉ。」
その人物に青年と、少女が声をかけた。
青年は顔が整っており、少女もかわいらしい容貌をしていた。
「なぁ、千年候。気分なおしにさぁ、そろそろ教えてよ。
僕たちをメシに誘った理由をさぁ。」
千年候と呼ばれた人物はニヤリと笑う。
大きな体躯に帽子をかぶっている。
「そうですね。第一の時は満ちた。そろそろ彼女に会いに行きましょうか。」
「彼女?」
青年が疑問をうかべるのに対し、少女は目を大きく見開いて机を大きく叩いた。
「本当!?僕が行きたい!!」
「だめです。」
その少女に千年伯爵は表情を変えずに言う。
「そうですね。ティキぽん。」
「?」
「私と一緒に行きましょう。」
「え〜。何でティッキーなのさぁ。」
頬をふくらませ不機嫌さを前面に表す少女に青年は苦笑する。
一体誰のことだよ。ロードの様子からだと新しい仲間か??
しかしここまで喜ぶことか??様々なことを考えるがさっぱりわからん。
ティキと呼ばれた青年の全くわからないところで話しが進んでいるようである。
「大丈夫ですよ。ここに連れて来ますから。」
「約束だからね。」
その後その少女は足を振りながら喜んで並ぶ料理をたいらげていく。
「あの千年公・・・。」
「何です?」
「彼女って誰?」
「あぁ、そうでした。ティキぽんにはまだ話していませんでしたね。
でもまぁ・・秘密です。」
首をかしげ、笑みをうかべる伯爵の飄々とした姿にティキは諦めた。
「大丈夫ですよ。会えばすぐにわかりますから。」
そして横の少女に目をむけるが、少女はただ意地悪な笑みをうかべるだけだった。
「では、ティキぽんにあとは任せました。」
「は?!」
「ゲームスタートv」
またたく間に千年公が消える。
おいおい・・そりゃねぇだろ。
この街に先日話した女がいるらしいのだが、街についた途端何も情報を与えず
俺を放り出した。
「わけわかんねぇ・・。」
頭を軽くかき、周りを見回す。
「まっ、とりあえず見回ってみるか。」
休日だと思って、俺は街を歩き回ることにした。
しばらくして、街の中央に来ていた。
そこには噴水があり、夕暮れ時だということもあり、帰りの途につく人間が多い。
帰る場所か・・・・。
自分の帰る場所、それは二つ。
人間の俺とノアの俺。
なーに難しいこと考えてんだか。
頭をふって考えを消した時、ふと噴水の横のベンチに腰掛ける女が目に入った。
その服装は黒と白の服であり、自分たちの敵であるものの服装だ。
女のエクソシスト・・。
女と目が合う。
その瞬間、胸に何かの衝動が湧き上がる。
何だ・・・。
湧き上がるものは殺人衝動ではない。
自然と目から涙があふれる。
わけわかんねぇ・・。
心に切なく、そして温かな感情がこみ上げる。
その女はそんな俺をみて目をみひらき、立ち上がった。
そして自分のポシェットからハンカチを取り出し俺に手渡してきた。
「あの、よかったらお使いください。」
「ははっ・・。」
「どうかしましたか??」
そうなのか。
この女が何者かわからない。
けれどこんなにも心が反応するってことは・・
ノア関連か。初めて出会ったのにこんなにも愛しい。
「ようやく会えた。」
「え?」
自然にでた言葉、そして腕をひき女を抱きしめる。
満ちる思いに腕に力をこめる。
「あの!」
「当ったりで〜すvそれでは行きましょうか。」
降り立った千年公に俺は苦笑する。
どこから見てたんだよ。
「?」
その女は俺達を見て何が何だかわからないという表情だった。
千年公にもまだ会ったことないのか??
ただ先ほどとは違い女の顔色が悪い。
「姿は現さないようにしていましたからね。」
俺の視線に気づき千年公が言う。そして千年公も目から涙を流した。
「おやおや・・。すみませんねぇ、嬉しいようです。」
目から涙をぬぐい今度こそ千年公は女に向かい合った。
「初めまして。私は千年伯爵と言いますv」
その言葉に女が目を大きく見開く。
「さん!!」
「邪魔ものも来たようですし。」
千年公がレロを振り上げると床が沈む。
箱舟セットしてたのか。
「っ!」
女が外に伸ばした手をつかむ。
「諦めな。お譲さん。」
それを千年公は満足そうに見つめていた。