リーバーさんの科学班全員への招集アナウンスに私たちは首をかしげる。


「何かあったんでしょうか。」

「そうね。」


大皿の間からアレン君が私に聞いてきた。


「またコムイ室長が何かやらかしたんじゃね♪?」

「・・・・。」


楽しそうなラビと相変わらず無言の神田。

が任務中だから・・私はすごく不安になった。








With 6










コーヒーでも配りにいくついでに聞いちゃおう!

そうきめて、コーヒーセットをもちドアの前に立つとドアが自然に開いた。


「リナリーか!ちょうどよかった!!ラビ、アレン、神田を呼んできてくれ。」

「えっ!うん!!」


走って3人を探し、兄さんの部屋へと行く。

するとそこにはばたばた動き回る科学班の人と、深刻な顔つきの兄さんがいた。

兄さんのこんな顔久々に見た。


「4人にはここに今すぐに向かってもらう。」

「イノセンスさ?」

「違う。が・・伯爵に攫われた。」

「「「「!!」」」」


そんな馬鹿な。


体が震える。


が・・伯爵に?


殺されちゃう!!


「リナリーしっかりしてください。」


アレン君に肩をたたかれ、私は我に返った。

そうだよね。

まだ決まってないんだから。


「コムイ・・どういうことだ。」


神田が不機嫌なことが声音でわかる。


「ファインダーの目の前で、地面に呑み込まれたらしい。

 何があるかわからないから、ファインダーだけでなく君たちにも調査を頼みたい。」

「場所はどこさ。」


兄さんが示したのはヨーロッパのそれなりに都会の都市。


「書類はここだ。」


手渡された書類に目を通す。


「神田、ちょっと待ってください!」

「書類なら汽車の中で読める。」


さっと出ていく神田を急いで追いかけた。

お願い・・無事でいて。







攫われただと?どういうことだ。

エクソシストは伯爵の敵だ。殺されるならわかるが、攫う意味がわからねぇ。

あの馬鹿・・手間かけさせやがって。

ふいに周りを見渡す。

リナリーは顔を青ざめ、モヤシは難しい顔をして書類に視線を向ける。

ラビは・・俺をみてふっと笑いやがった。


「リナリー、落ち着くさ。」

「でも!!」

「汽車の速度は変わらない。今は何もしようもないさ。そんな顔したら、

 疲れて、に会った時笑えないさ。なぁ、ユウ。」

声をかけているのはリナリーだが、こいつ・・俺に言ってやがる。

「俺をファーストネームで呼ぶんじゃねぇ。」

ラビを睨みつける。

割り切ろうと考えても割り切れない感情に舌打ちをした。






街には何も痕跡はなく。

僕たちはコムイさんの招集で戻ることになった。

誰も何も言わない。

リナリーはもう泣きそうで、神田は眉間にしわをよせたままだ。

ラビは何か考えている様子だった。

を思い出す。まだ教団に入りたてだったけれど、

彼女に惹かれている自分がいることに僕は気付いている。

優しくて、強い瞳をもっている・・会いたい。

すごくそう思う。

教団に戻ると、コムイさんの部屋にはブックマンがいて、

ぼくらにお帰りというとコムイさんは黙ってしまう。

そして


「次の仕事の書類だよ。」

「なっ!兄さん本気でいってるの!?」


リナリーがコムイさんに駆け寄って、机を思い切り叩いた。


は!はどうするのよ!!」

のことは僕らが調べる。・・保留だ。を待つしかない。」


それを無視し、神田は扉を出ていこうとする。


「神田どこへ行くの?」

「任務に決まってるだろうが。」

「っ!神田はそれでいいの?!」

「うっせぇな!」


怒号がとんで全員が神田を見た。

割り切ってない。

あの神田が・・僕に甘さを許さないと言った神田がだ。

神田はを・・おそらく特別に思っている。

ひどく素直じゃないけれど。


「っ・・・。」


神田の出て行ったあとをみてラビが肩手を軽くあげる。


「俺、ユウと同じ任務だし行くさ。

 コムイ・・を頼むさ。何かあったら連絡待ってる!」


神田を追ってラビも行く。

ぐっと拳をにぎった。


『僕は・・・歩みつづけます。』


にそう言った。誓ったんだ。


「リナリー任務行きましょう。」

「アレン君・・。」

「コムイさん、すぐに連絡くださいね。」

「あぁ・・ありがとう。」





コムイさんの苦笑にリナリーは小さく

「ごめんなさい。」

とつぶやき僕とドアを出た。