馬鹿馬鹿しいにも程がある。
「女ってのは複雑なのよ。」
「関係ねぇよ。」
口にする気はない。ただ一つの、小さな引っかかりだ。
どうしても消せない・・・引っかかりだが。
Hart2
苛々する。
くだらねぇ。
ただ一つの存在が心をかき乱すなんて・・。
「2人で行っちゃったけど、追いかけないの?ってあんたはそういうキャラじゃないものね。」
「・・・・・。」
何で俺が追いかけないといけない。
後はもう明日には出港だけだ。もうここに用はない。
【絶対なる。なってみせる!!だから・・・・】
「島一番の病院。そこの医者と看護婦・・。」
「あいつらが?そりゃこの島もおちたもんだ。」
「もちろんそこのナンバーワンの医者と看護婦ではないけれど、努力で成長してる二人よ。」
「・・・・・・。」
「キャプテーン!なにしみったれた顔してんだよ。」
「飲もうぜ!!」
『いつも送ってるだろ。』
『キール!』
思い出せば出すほど苛々するばかりだ。
当たり前だ、戻るのに10年・・・。
考えるのはやめだ。こいつらに合わせて今日は飲むか。
「いい度胸だ。こい。」
「キャプテンがマジだ!」
「こりゃ珍しい!!」
そして何人かつぶした後だった。
バン!!と勢いよくドアが開き、入ってきたのはだった。
「あら?今度は一人で?うーんお帰りというべきかしら。」
冗談まじりに話すリリイに見向きもせずがこっちに進む。
「・・・・・。」
ピタッと立ち止まるが顔は下を向いたままだ。
しばしの沈黙、場も静まり返る。
「私は・・・
優秀な看護師にはまだ程遠い。」
それはたどたどしい言葉
「でも・・・いつかなって見せるから」
一つ一つかみしめた言葉
「だからお願い。」
見上げた瞳はあの日の澄んだまま・・・
「ロー、私を連れてって。」
馬鹿みたいに込み合げてくる感情を押しこめる。
こいつを連れていくのは簡単だ。
だが海賊船に乗るという意味をこいつはわかっているのか。
刀を抜きに向ける。
「来れば戻れない。そして海賊は、人の命を奪う。」
は少し目をみはったが、真直ぐに俺を見つめる。
「わかってる。ううん、たぶん今の私はその意味をわかっていない。
人を殺めたことがない私は。でも・・・。」
「わかっても後悔しない自信がある。私はローと一緒にいく。」
視界に入るリリイの笑みと一味の奴らの馬鹿騒ぎが気にくわねぇが・・そうか
俺は今笑っているのか。
「出港は明日の正午。遅れるな。」
「うん!!」
その笑みに自分に嘘をついていたことを実感する。
ガキのまま・・んなわけがあるか。
でもそれを言う気はない。
今は
「おい!新入り!お前の名前は??」
「です。よろしくお願いします!」
この姿を見ているだけでいい。
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