「今日は天気良いね。」

「そうね。」


私は教団の窓から顔を出す。

温かい日差しに気持ちのいい風・・。


「今日はきっと良い日になるよ。」

「どうして?」


私の親友であるリナリーが不思議そうに私を見る。


「こんなに良い気持ちになれる天気の日に悪いことは起きない!なんちゃっ」

「相変わらずわけわかんねぇ。」

「なっ!!何で聞いてるの!!」


振り向くと鼻で笑った神田がそこに立っている。


「お前の声がでかいから悪い。」


そのまま神田は私の横を通り過ぎていった。


「ひどいっ!ってリナリーまで笑ってるし。」

「相変わらず仲いいのね。」


う〜ん。これ仲いいのかな・・・。












 With 1










「今日も悪いな。」


「いえ、リーバーさん気にしないでください。」

ペンをくるくる回して計算式に向かった。

私の本業はもちろんエクソシストだけど、能力をかってもらって、

晴れて科学班でもある。


「相変わらずすごいわね。」

「僕たちの隠し玉!ちゃん!いや〜助かる!!百人、いや千人力!!」

「んなこと言うひまあったら、あんたはおとなしく仕事しろ!!」


横でリーバーさんの声がするけれど、私は計算をやめない。

声が聞こえないわけじゃない。でも集中するとそれどころじゃなくなる。

でもその時だった。


「っ!」


何だろう。心臓の鼓動が早い。

何かが・・来る。


「どうしたの?」


顔を下に向けている私にリナリーが駆け寄ってくる。


「リナリ・・」

「やだ!どうしたの?!」


汗がひとしずく流れ、顔が苦痛にゆがむ。

わけがわからない・・。

リナリーから水をもらい、深呼吸を繰り返した。

鼓動の速さが戻っていく。


「もう、大丈夫。」


そう言うとリナリーは安心したように私に微笑んでくれる。


「あれ??誰かいますよ。」


リーバーさんの声に全員が外を見張る装置に目線を向けた。

・・男の人??白い髪の少年がそこには映ってる。

「ダメだよ。部外者いれちゃ〜〜。何で落とさなかったの?!」


コムイさんが面倒くさそうにその映像を見る横でリーバーさんはじっと映像を見つめた。


「それが微妙に部外者っぽくねーんすよ。」

「ここ見て兄さん。この子クロス元帥のゴーレム連れてるの。」


クロス元帥??

クロス元帥は私が教団に来た頃にはすでに失踪していた人だ。

だから私は知らないんだよね・・そのお弟子さんかな?

その少年はクロス元帥の紹介と言い、それにコムイさんは知らないと答える。

そして・・


こいつアウトォォオオ!!!

「ええっ?!リナリーアウトって??」


こんな門番見たことない。

全員があわててるけれど、何もわからない。


「つまり」

千年伯爵の仲間だー!!

えええええぇ!!


その門番の声にスパイ侵入のアナウンスが響く。


「あの人が・・スパイ??」


全然そう見えない。だけど・・鼓動がまた少し早くなる。

体調おかしいのかな。

それに、何だろう。

私は映像の少年に触れる。

懐かしい・・?

そんなわけないのに・・。


「神田がもう着いたわ。」

「神田が?」


ってリナリー!!それはある意味やばい気が!!

万が一門番の間違いだとしても、相手の話を聞かないことが

と〜っても得意な神田のことだ、あの少年が串刺しになってしまう!


「私も行く!」

「えっ!!?」


急いで廊下をかけぬけ、


「イノセンス、発動。」


右手に集中する。すると右手には細身の剣が現れる。


「その勝負待って!!」


少年を背に神田の六幻をうける。


「どういうつもりだ・・。」


眉間にしわをよせ神田が睨みつけてくる。


「そこをどけ。」

「待って。」

「そいつは悪魔だ。」

「この人は違うっていってるじゃない。」

「・・斬る。」


全く聞く耳なしの神田に私も神経を集中させる。

仕方ない・・。

私が神田の剣をはじき構えなおした途端


「僕は本当に敵じゃないですって!!クロス師匠から招待状がおくられてるはずです!!」

「「元帥から・・?紹介状・・?」」


私と神田の言葉が重なる。

そして

「かっつ、開門んん――??」

門が開き、少年の入場が許可されたらしいアナウンスが響いた。

少年の名はアレン・ウォーカーというらしい。

それでも


「コムイか・・どういうことだ?」

「神田!」

「うるせぇ、お前は黙ってろ。」


そう言って神田は六幻をアレン・ウォーカーという少年に向けた。


「彼は仲間だって、コムイさんも言ったでしょ。」


ぎろりと睨まれる。なんだかさっきより不機嫌な気がする。


ぱこん。


そんな音が響いて


「もー。やめなさいって言ってるでしょ!早く入らないと門閉めちゃうわよ。」

現れたのはリナリーだった。


大丈夫だった?」

「うん。リナリーありがとう。」

「どういたしまして。」


神田はリナリーには弱い。

付き合いが長いのか、こういう場目では結構押されてしまう。

むしろリナリーの方が神田と仲いいんじゃないかなぁ。

茫然と立ち尽くす2人にリナリーは扉の入り口を指差した。


「入んなさい!」


リナリーに言われ私と神田、少年も扉に入る。


「あの。さん・・でいいですか?」

「?」

「さっきはありがとうございました!」


少年が丁寧に私に頭をさげる。

この子・・良い子だ!


「いえ、こちらこそ神田が迷惑をかけてすみません。」

「うぜぇ。」

「何?」

「・・・・。」


神田・・無視ですか。


「とにかく怪我がなくてよかった。私は水瀬。さん付けはいらないよ。アレンさん。」

「僕もさん付けはいりません、。」


その笑顔がとてもさわやかで、見とれてしまう。

こういう感じは慣れてない。

すごく何ていうか紳士的だ・・・。


「ちっ。」


舌打ちをして神田がどこかへ行こうとする。


「あっ、カンダ・・って名前でしたよね・・・?」


アレンが神田を先に呼びとめる。

でも神田はすごく機嫌が悪そうに振り向いて・・先ほどの舌打ちといいどうしたんだろ。

悪魔と間違えてアレンに喧嘩をうってしまったから?

それくらいじゃ、こうはならないだろう。

うーん。


「よろしく。」


アレン君が手を差し伸べる。

もちろん私の嫌な予感は的中し、


「呪われた奴となんか握手するか」


と神田は行ってしまった。

ひきつった笑みをうかべるアレン。


「ごめんね。任務から戻ったばかりで気がたってるの。

 あとは、ううんなんでもないわ。」

リナリーは何か言いかけてやめてしまった。

そして私に微笑みかける。


「私はこれからアレン君に案内するから。は神田の方にいって。」

「・・・。」

「そんな嫌な顔しないで。」


確かに武器を向けてしまったことに後悔していた。

考えれば、神田は正しい判断だったわけで。

結果的に私の方が正しいけれど、それはただの結果論。

アレンが本当に悪魔だったらと考えれば・・。

よしっと気合を入れる。


「アレン、またあとで!」

「はい。」




ダッシュで神田を追いかけた。


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